民法改正 賃貸借契約に関する注意点①
春はもうすぐですね。ただ、世の中コロナウィルスの影響で暗くなるような話ばかりです。そんな中ですが、4月1日に控えた120年ぶりの民法大改正。以前別の記事でも書きましたが、不動産契約に関する民法のルールについても一部変更があります。今日は賃貸借契約に関するルールについて特に気を付けてほしい点をシリーズ3回に分けてわかりやすくお伝えしたいと思います。第1回は”賃貸借が継続している場合”の注意点です。
①賃貸借が継続している場合の注意点<賃貸物の修繕に関して>
賃貸借契約が現在も継続中という場合ですが、特に気を付けていただきたいことが2点ございます。
①賃貸物の修繕に関して
借りている建物が雨漏りする等々、賃貸物件の修繕が必要な場合、あくまで貸主のものなので、借主が勝手に手を加えることはできません。ただ、万が一貸主が修繕してくれない場合、借主は困ってしまいますよね。現行民法ではどのような時に借主が自分で修繕できると規定はありません。そこで改正民法では2つのケースの場合は、借主が修繕を行ったとしても、貸主から責任を追及されることはなくなりました。
1、借主が修繕が必要と貸主に通知したにも関わらず貸主が相当の期間に必要な修繕をしない時
2、急迫の事情がある時
当然に改正後の賃貸借契約書の内容も変更があり、このようなケースの場合は借主が修繕できるという文言があるのですが。。。ちょっと待ってください。物件を修繕するという一言であっても、色々な修繕箇所があると思います。
貸室の雨漏りの修繕?建物全体の修繕??貸室内の修繕?
もし建物全体の修繕を借主が行ってしまったら、貸主様が困りませんか?
そこで弊社では、改正民法に従い借主の修繕権は保護しつつ、借主に適切な範囲の修繕権で対応していただけるよう、特約を記すようにしております。
②賃貸借が継続している場合の注意点<賃貸物件に一部使用不能箇所が発生した場合>
②賃貸物件に故障個所が発生した場合(例えば:トイレが故障した、エアコンが作動しない等々)
特に設備等修繕を自主管理で行っているオーナー様にご注意を頂きたい点です。
現行民法では「請求減額」(借主からの減額請求に応じて協議する)とされていましたが、改正民法では「当然減額」⇒使用できなくなった割合に応じて当然に家賃が減額されるという規定になりました。
もちろん減額されるには借主の責めに帰すべき事由がないこと・通常の居住ができないことなど当然減額が適用されるための要件はございます。
但し、借主の中には使用可能箇所をそのまま放置し、かなり時間が経ってから連絡があることもございます。その場合、借主の通知義務が履行されていないことは問題になり、当然減額が適用されることが当たり前かというと疑義が生じます。
こちらについても、弊社では特約で補足をする予定です。
お互い誠意を持った対応が望まれますね。
第2回に続きます。
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